2011年11月25日金曜日

東大、肥満細胞が産出する生理活性物質ががんの成長を抑制することを確認


東京大学は11月22日、免疫細胞の1種である「肥満細胞」が大量に産出する物質「プロスタグランジンD2」(PGD2)が、がんを取り巻く免疫環境を整えてその成長を強く抑えることを発見したと発表した(画像1)。研究は東京大学大学院農学生命科学研究科の村田幸久助教らによるもので、「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」(オンライン版11月21日号)に掲載された。
画像1。PGD2はがんにおける異常な炎症反応(血管再生の促進や免疫細胞の活性)を抑制し、その成長を阻止する
がんは生体の免疫機構からの攻撃を回避するだけでなく、免疫反応の質を変化させて刺激し、これを利用することで成長を加速させるという特徴を持つ。このため、がんにおける免疫反応の正常化と沈静化が、がんの成長を止めるためには必要とされている。
今回の肥満細胞は、炎症や免疫機構など生体防御機構の一端を担う免疫細胞の1つだが、組織で観察される数が非常に少ないため、免疫制御機構については不明な点が多かった。そして、肥満細胞が産出するPGD2は細胞膜脂質から産生される生理活性物質で、炎症反応の主体をなしている。
前述したようにPGD2は炎症反応の主体をなすわけだが、その炎症反応とは感染・傷害から生体を守り、その治癒を担う生体反応だ。その一方で、急速に成長する固形腫瘍(がん)においては、異常(過度)な炎症反応が観察され、この反応が逆にがんの成長を助長する因子として働くことも判明している。そのため、がんにおいては異常な炎症反応をどのように制御するかが、がん克服のポイントの1つとして重要視されているというわけだ。
PGD2を含むプロスタグランジン(PG)は細胞膜リン脂質から産出される情報伝達物質の1種であり、炎症反応はこれらによって引き起こされる。PGの中で最も有名なPGE2は、がん内の炎症を刺激してがんの悪性度を高めることも確認済みだ。
これまでの研究で、PGD2は人体の部位としては脳で産生され、睡眠を誘発することがわかっていたが、がんの成長にどのような影響を与えるかは不明だった。そうした背景を踏まえて、PGD2ががん内の炎症反応とその成長にどのような影響を及ぼすのか、そしてどのような機構を介しているのかの研究が行われたのである。
実験では、PGD2を合成する酵素「H-PGDS」を欠損させて、PGD2を産生することができないマウスにがんを移植。すると、正常なマウスへ移植したがと比較して、非常に早く成長するのが確認された。
H-PGDS欠損マウスで成長したがんを観察したところ、極度の炎症反応の増強が判明。その炎症反応は、炎症を刺激する生理活性物質の1つで、がんの悪化を引き起こす因子として働く「TNF-α」を中心とするサイトカイン産生量、ほかの免疫細胞の浸潤数、血管新生といったものである。
さらに、がん組織において免疫細胞の1種である肥満細胞が点在していたことも確認された。この肥満細胞が強くH-PGDSを発現しており、がんにおけるPGD2の産生元であることが判明したのである(画像2)。
画像2。がん細胞において、赤で標識された肥満細胞がH-PGDS(緑)を発現している
さらに、肥満細胞に特異的なH-PGDS欠損マウスを作製し、このマウスに腫瘍を移植。すると、急速に腫瘍が成長するのが確認された。
最後に、H-PGDSを欠損した肥満細胞の性状を調査。TNF-αを始めとするサイトカインの産生量が異常に上昇していることがわかった。そして、この細胞にPGD2を添加したところ、その異常産生が抑えられたのである。
この結果から、がんに極めてわずかな数だけが浸潤している肥満細胞がPGD2を産生し、がんにおける強力な炎症抑制作用と増殖抑制作用を持つことが判明したというわけだ。研究グループでは、PGD2シグナルの増強は、新たながん治療のターゲットとなる可能性があるとしている。

2011年8月27日土曜日

第7回 氣オアシス 参加御案内


皆様のおかげで氣オアシスも今回で7回目となりました。今回も参加した皆様から好評を頂いていますくじゅう倶楽部にて氣オアシスを開催いたします。参加希望の方は2枚目の参加申込書に御記入の上メールやFAXで御送り下さい。又電話での申し込みも受け付けております。皆様の御参加お待ちしております。



<開催日時>

 2011 101日、2日(土・日)

<開催場所>

 くじゅう倶楽部(〒879-4911 大分県玖珠郡九重町大字田野228)

<参加費用>

 参加費 15000

<宿泊費> ※参加費とは別になります。

 宿泊費(13食付) 6500

<各自持参>

 洗面道具(タオル等はすべて有料です)・動きやすい服・羽織れる服

<集合場所>

 現地集合(くじゅう倶楽部内3号館前)─ 午後3

 ORT生命科学研究所1F(現地まで交通手段がない場合)─ 午後1

    ※車の乗員数に限りがございますので御早めに申し付け下さい。







プログラム(変更がある場合が御座います。ご了承ください。)

 101日(土)

   PM 3:00  現地集合

   PM 3:15  宗先生気功教室

   PM 6:30  夕食・懇親会

   PM 9:00 下津浦先生元気セミナー



  102日(日)

   AM 6:00  早朝ウォーキング

   AM 8:00  朝食

   AM 9:00  宗先生気功教室

   PM 0:30  昼食

   PM 2:00  解散



7回“氣オアシス”参加申込書





氣オアシス参加料:\15,000101日、2日)当日現地支払い


 

氏名::                                  

住所:                                  

電話番号:                                

性別:男・女

現地までどのような交通手段で行かれるのかを下記にお書き下さい。








当日参加料お支払い時に名札をくばりますので、できるだけ名札をお付けになって

皆様とのご交流をお楽しみください。



主催:ORT生命科学研究所

   〒830-0032  福岡県久留米市東町496東町ビル1F

   TEL:0942-36-0630  FAX:0942-36-1961

      E-mail:seimei@bdort.net


     


2011年8月20日土曜日

児玉龍彦教授の除染活動に密着


児玉龍彦教授の南相馬市での除染活動に密着。丁寧な取材を高く評価したい。児玉先生の声明「日本の国土というのは、すべからく、子どもと妊婦を最優先する責務を科学者も政­治家も経済人もマスコミも責任を負っている」

2011年4月25日月曜日

無人ヘリが撮影した福島第1原発の映像



東京電力は、福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールの状態が分かる画像を公表した。燃料棒の損傷度を調べるため、水素爆発で鉄筋コンクリートが外側にめくれた4号機原子炉建屋上部を14日に小型の無人ヘリコプターが撮影した。【動画提供・東京電力】

【特集】↓東日本大震災、福島原発事故の最新ニュース
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/

2011年3月23日水曜日

内部被ばくの防止が重要 正確な測定値と説明示せ 大阪大名誉教授 野村大成 識者評論「農産物放射能汚染」

内部被ばくの防止が重要 正確な測定値と説明示せ 大阪大名誉教授 野村大成 識者評論「農産物放射能汚染」

2011年3月22日   提供:共同通信社
 福島第1原発事故による住民、特に小児への健康影響では内部被ばくがより懸念される。ヨウ素は甲状腺、セシウムは全身の筋肉、ストロンチウムは骨など特定の臓器に集中的に取り込まれ、危険性は高い。
私は旧ソ連チェルノブイリ原発事故後のユネスコによる現地調査、英国セラフィールド再処理工場の裁判などに関わってきた。その経験から現時点の疑問に答えたい。
枝野幸男官房長官らは「直ちに健康に影響はない」と語った。これは原子力事故のたびに国民を安心させるため使われてきた決まり文句である。
急性障害(症状は1シーベルト以上、治療しなければ7~9シーベルトで死亡)は過去の事故例でも、現場の作業員や救援などで立ち入った人に限られている。しかし、住民に問題になるのは、忘れた頃にやってくる、内部被ばくの晩発影響(8割はがん)であり、その予防である。
特に、風に乗って遠くまで運ばれる放射能を帯びた降下物が呼吸や、やがては水、食物を介して体内に取り込まれて内部被ばくする。取り込まれた放射性物質の中には、特定の臓器に集中的に蓄積される元素があり、取り続ければ長期間にわたり放射線を浴びせる。
福島第1原発から約200キロ離れた東京などで検出されている放射線量は風向きや気候で大きく変わる。このまま放出が短期間に収まってくれれば、体内に取り込まれても、首都圏で健康に影響するとは考えにくい。
放射能の環境汚染を正確に測り、汚染地域を設定して対処することがすぐ課題になる。チェルノブイリ事故では風向き、降雨などの影響で100~180キロ離れた所に高濃度汚染地域が現れた。今回、政府は住民を避難させておいて、周辺での農作物の調査が遅れたのではないか。
牛の原乳やホウレンソウから暫定基準値を超える放射性物質が検出されても「牛乳は1年間摂取し続けてもCTスキャン1回分程度」だから安全という政府の発表には異議を唱えたい。医療被ばくは健康へのメリットが多いから、規制が除外されているのであって、安全といっているのでない。しかも、CT検査はエックス線の外部被ばくで、これくらいの線量で発がんの心配はまずない。
これに対し、食物は内部被ばくを起こす。住民、中でも子どもに問題なのはヨウ素131だ。ヨウ素は甲状腺に集まり、ベータ線を出す。半減期が8日と短くても、成長期にある子どもには、取り続ければ危険性が無視できない。
チェルノブイリ事故では10代後半の被ばくでも、事故15年後に甲状腺がんがピークに達し、通常の10倍を超えた。放射能で汚染した牧草を食べた牛の乳を介してヨウ素が子どもの甲状腺に集中した。それに加え、ヨウ素欠乏地域であったため、甲状腺に放射性ヨウ素がより多く取り込まれ、甲状腺の大量被ばくとなり、がんを起こした。今回は、放射性ヨウ素の値はチェルノブイリよりはるかに低いが、注意は必要である。
セシウムは半減期が30年と長く、全身の筋肉に均等に取り込まれるが、排せつされやすい。予防の観点から、暫定基準値を超えた農産物の移動・摂取は厳しく制限しなければならないことは、放射線障害の歴史が物語っている。
風評被害を避けるためにも、政府は土壌や作物を含め、正確な測定値と説明を速やかに示すべきだ。未曽有の大地震津波の被災地を襲った重大な原発事故は一刻も早く終息させ、これ以上の放射性物質の放出を抑えるよう切望する。
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のむら・たいせい 42年名古屋市生まれ。67年大阪大医学部卒。専門は放射線基礎医学。86~05年大阪大医学部教授。現在は大阪大招聘(しょうへい)教授。